1624年 詩人ジョン・ダンが「なんぴとも孤島ではない」という一説を含む瞑想録を出版する。
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日付:1624年
小咄:
十七世紀イギリスはキリスト教が内部に抱えた分裂をめぐる内戦が繰り広げられた世紀だった。そのような時代に活動した詩人のジョン・ダンは身の回りを蝕む戦争を嘆きながら「なんぴとも孤島ではない」という有名な一節を含む瞑想録「死に臨んでの祈り」を書き記す。それは「いかなる人も大陸の一片であり、全体の一部である」と続き、孤立しているように見える個人がその実、他者と結びついている様を描き出している。孤島は水面下において海底を通じて他の島に繋がっている。それは誰もが知っている、湖や海の水位が変わることで島が生まれたり、なくなったりする現象を思えば当然のことだが、ことさら北海道においては湖の水が凍ることで冬の島が島ではなくなるという「サイド・プロジェクト」を通して直面せざるを得なかった現象にも通底している。逆さまに言えば、「島」とはそもそもが周りを取り囲む海という基準点が作り出す効果としてのヴァーチャルグラウンドなのだ。